有機(オーガニック)コーヒーとは、化学合成農薬や化学肥料を使わず、認証機関の基準に沿って栽培・加工されたコーヒーです。国際的にはEUオーガニックや米国USDAオーガニック、日本では有機JAS認証などがあり、通常は転換期間(数年間、化学物質を使わずに栽培)を経て認証されます。堆肥やカスカラ(果肉)などの有機物で土を作り、日陰樹や被覆作物で土壌と生態系を守る——伝統的な農法と親和性が高く、もともと農薬を買えない小規模農家が結果的に『実質有機』であるケースも少なくありません。
01 味は良くなるのか
『有機だからおいしい』とは限りません。味を決めるのは品種・標高・精製・鮮度であって、有機か否かは直接の決定要因ではないからです。ただし、有機栽培が前提とする土づくり・日陰管理・丁寧な栽培が、結果的に良い実を育てることはあります。逆に、認証を取るために手間をかけた農家の豆は、栽培全体の質が高い傾向も。有機は『味の保証』ではなく『栽培方法の保証』と理解するのが正確です。健康面でも、焙煎・抽出されたコーヒーの残留農薬は微量とされますが、環境と生産者の健康への配慮という点に有機の主眼があります。
02 生産者にとっての損得
有機認証は生産者にとって諸刃の剣です。プレミアム価格が期待できる一方、認証取得・維持にはコストと手間がかかり、転換期間中は収量が落ちることも。化学肥料を使えないため、土壌が痩せた土地では収量確保が難しく、小規模農家には負担が大きい場合があります。認証を取らずに実質有機で栽培する農家も多く、『無認証だが有機的』な優れた豆も存在します。有機は理念として重要ですが、認証マークの有無だけで豆の価値を測るのは早計。栽培の中身と、生産者にとっての現実的な意味を見ることが大切です。