エチオピアやルワンダ、ケニアなど東アフリカのコーヒーは、その多くが『小規模農家(スモールホルダー)』によって生産されます。彼らは数百本程度のコーヒーノキを庭先や小さな畑で育て、収穫した実(チェリー)を近くの『ウォッシングステーション(集約精製施設、CWS)』に持ち込みます。ステーションでは多くの農家の実をまとめて精製・乾燥するため、豆袋の名前は農園名ではなくステーション名になることが多い。『エチオピア・イルガチェフェ・○○ウォッシングステーション』という表記は、この集約生産の仕組みを反映しています。

01 協同組合という仕組み

小農が単独で市場と交渉するのは困難です。そこで農家が集まって『協同組合(コーペラティブ)』を作り、共同で精製施設を運営し、まとめて販売し、収益を分配します。組合は品質管理、資金へのアクセス、公正な取引の窓口として機能し、フェアトレード認証もこうした組合を基盤にすることが多い。エチオピアには組合の連合体(ユニオン)もあり、輸出まで担います。個々では弱い小農が、集まることで品質と交渉力を持つ——協同組合は、コーヒー生産の社会的インフラです。

02 集約精製の光と影

ウォッシングステーションでの集約精製には利点と課題があります。利点は、個々の農家では持てない設備(パルパー、発酵槽、乾燥ベッド)で均一な高品質精製ができること。専門スタッフが管理するため、精製技術の水準も上がります。一方、多くの農家の実が混ざるため、突出した個性のロットを分けにくい面も。近年は、優れた実を持ち込む農家や特定の日の収穫を分けて精製する『マイクロロット』の取り組みも進み、集約のメリットと個別性を両立させようとしています。品質に応じて農家への支払いを増やす仕組みが、良い実を作る動機になります。