コロンビアのコーヒー研究機関Cenicafé(セニカフェ)は、サビ病に苦しむ自国の畑を守るため、数十年をかけて耐病品種を開発してきました。1980年代の「コロンビア」(カティモール系)に続き、2005年に発表されたのが「カスティージョ」。ティモールハイブリッド由来の耐性遺伝子を持ちながら、5世代以上の戻し交配と選抜で味の改良を重ねた品種です。2008年前後のサビ病大流行を機に、国の強力な普及策で植え替えが進み、現在はコロンビアの作付けの主力となっています。
01 「味が劣る」論争
一部のバイヤーやロースターは「カスティージョはカトゥーラに比べて風味が単調」と主張し、高値ロットではカトゥーラ指名買いが続きました。一方、2010年代に行われた比較研究では、同一条件で栽培したカスティージョとカトゥーラをプロのカッパーが評価したところ、統計的に有意な差が見られなかったという報告もあります。味の差より、栽培条件・精製・鮮度の差のほうがはるかに大きい——というのが現在の穏当な結論で、実際にカスティージョのロットがCOEで上位入賞する例も出ています。
02 生産者にとっての意味
この論争は「味への純粋主義」と「農家の生存」の緊張関係を映しています。サビ病でカトゥーラの畑が全滅すれば、農家は味を語る以前に生計を失います。カスティージョは地域ごとに最適化された複数系統(ジェネラル、ナリーニョ向けなど)が用意され、小規模農家のリスクを下げる設計。買い手が品種名だけで値踏みせず、カップの中身で評価することが、生産の持続可能性を支える構図になっています。