ここまで栽培・精製・品種・テロワールを学んできました。仕上げは、それを舌で確かめること。テロワールや精製の違いは、読むより飲むほうが早く腑に落ちます。コツは『変数を一つに絞る』こと。あれもこれもと違う豆を漫然と飲んでも違いは掴めません。産地だけ、精製だけ、品種だけ——一つの条件だけを変えて並べると、その要素が味に与える影響が浮かび上がります。これは家庭でできる、最も効果的なコーヒーの学び方です。
01 3つの飲み比べ実験
おすすめの飲み比べを3つ。【産地の比較】同じ精製・近い焙煎度で、エチオピア・ケニア・コロンビア・ブラジルを飲み比べる。アフリカの華やかさと中南米の穏やかさ、産地の個性が分かります。【精製の比較】同じ農園・品種のウォッシュドとナチュラルを飲み比べる(kn-036, 37)。クリーンな酸と熟した果実味、精製が味を変える威力を体感できます。【品種の比較】同じ産地でゲイシャとカトゥーラ、あるいはSL28とブルボンを飲み比べる。品種が香りの方向を決めることが分かります。条件を揃え、変数を一つに絞るのが鉄則です。
02 飲み比べの進め方
実践のコツ。まず抽出条件を揃えます(同じ豆量・湯量・湯温・器具)。カップを2〜3個並べ、同時に淹れて温度も揃える。飲むときは、香り(粉と液の両方)→熱いうちの味→冷めてからの味、の順に観察し、感じたことを一語でメモします(kn-012)。『どちらが好きか』だけでなく『何が違うか』を言葉にするのが上達の鍵。温度が下がると酸や甘さが出てくる(kn-012)ので、冷めるまで付き合うと発見が増えます。プロのカッピング(kn-062)を簡略化した、この『比べる』習慣が、味覚を最速で鍛えます。