カッピングは、コーヒーの品質を評価する国際標準の官能検査です。産地・輸入・焙煎の各段階で行われ、特に産地では豆の値付けの根拠になります。手順は世界共通に近く、決まった比率(湯150mlに粉8.25g前後)で粉に直接湯を注ぎ、時間を置いて表面の層(クラスト)を崩し(ブレイク)、専用スプーンで液をすすって評価します。香り・フレーバー・酸・ボディ・後味・バランス・クリーンさ・甘さなどの項目を採点し、SCA方式では100点満点で総合スコアを出します。80点以上がスペシャルティの目安です。
01 なぜ『すする』のか
カッピングで音を立ててすするのには理由があります。液体を霧状にして口内と鼻腔全体に広げ、味覚と嗅覚(特に喉から鼻へ抜けるレトロネーザル香)を最大限に働かせるためです。複数のサンプルを同じ条件で並べて評価する『ブラインドカッピング』により、先入観を排して品質を客観的に比べられます。プロのカッパー(Qグレーダーなどの資格者)は、この訓練された感覚で、産地の豆を格付けし、ロースターは仕入れの判断をします。カッピングは、感覚を『共通言語』に変える技術です。
02 値付けと品評会
カッピングスコアは、そのまま経済的価値になります。スペシャルティの世界では、スコアが高いほど相場を超える価格が付き、生産者の収入に直結します。その頂点がカップ・オブ・エクセレンス(COE)。生産国ごとに国際審査員がカッピングで選び抜いた最高ロットが、ネットオークションで世界のバイヤーに競り落とされ、破格の値がつきます。品質を数値化して正当に評価する仕組みが、農家に『良いコーヒーを作れば報われる』という動機を与える——カッピングは、スペシャルティ経済の心臓部です。