コーヒーの苦味の主役は、意外にもカフェインではありません。カフェインが苦味に占める割合は1〜3割程度とされ、残りはクロロゲン酸類が焙煎で変化してできる「クロロゲン酸ラクトン」や、深煎りで生まれる褐色色素・フェニルインダン類など、焙煎由来の成分が中心です。深煎りほど苦くなるのは、この「作られる苦味」が増えるからです。

01 酸味は「劣化」ではなく「果実の記憶」

生豆にはクエン酸(柑橘系)、リンゴ酸(りんご様)などの有機酸が含まれ、焙煎の初期段階では糖の分解によって酢酸なども生まれます。浅煎りで感じる明るい酸はこれらの組み合わせで、コーヒーがフルーツの種子であることの証拠。一方、抽出後に長時間放置してツンとくる酸っぱさは、成分の酸化による劣化で、良質な酸味とは別物です。

02 甘みとボディの正体

焙煎中のカラメル化とメイラード反応は、甘い香りの化合物(フラネオールなど)を生み、私たちはこの「甘い香り」を甘みとして感じ取ります。砂糖のような糖分はほとんど残っていないのに甘く感じるのは、嗅覚と味覚の共同作業です。口当たりの厚み(ボディ)には、コーヒーオイルや多糖類、メラノイジンなどが関わっています。