インスタントコーヒー(ソリュブルコーヒー)は、焙煎豆から大量に抽出した濃いコーヒー液を乾燥させ、湯や水にすぐ溶ける粉末・顆粒にしたものです。1900年前後に原型が生まれ、第二次世界大戦で兵士の携行品として普及、戦後に世界の家庭へ広がりました。ネスカフェに代表されるこの製品は、コーヒーを『淹れる手間』から解放した20世紀の大発明。すでに抽出済みだからこそ、湯を注ぐだけで飲めるのです。製法は主に2つ——フリーズドライとスプレードライがあります。
01 フリーズドライ(凍結乾燥)
フリーズドライは、濃縮したコーヒー液をマイナス40度前後で凍らせ、真空中で氷を昇華させて(液体を経ずに気体化)水分を除く方式です。低温で処理するため香気成分が壊れにくく、風味の保持に優れます。仕上がりは大きめの顆粒状で、色も本来のコーヒーに近い。手間とコストがかかるぶん高級インスタントに使われ、近年はスペシャルティ豆を使ったプレミアムなフリーズドライ製品も登場。『インスタント=まずい』の常識を覆す品質のものが増えています。
02 スプレードライ(噴霧乾燥)
スプレードライは、コーヒー液を高温の乾燥塔の中に霧状に噴射し、落下する間に水分を飛ばして粉末にする方式です。短時間・大量生産に向き、コストが安い。仕上がりは細かい粉末状で、水にも溶けやすくアイス用途に強みがあります。一方、高温処理のため香気成分が失われやすいのが難点。これを補うため、抽出時に発生する香り成分を回収して最後に吹き付ける『アロマ回収』技術も使われます。微粉砕した焙煎豆を混ぜ込んで香りと風味を高めた製品もあります。