コーヒーベルト(kn-003)の約60か国は、味の性格でざっくり3ブロックに分けられます。『アフリカ・中東』——コーヒーの故郷。華やかな酸と果実味、花の香り。エチオピア(kn-031)、ケニア(kn-028)、ルワンダ、イエメン。『中南米』——世界供給の心臓部。バランスとクリーンさ、ナッツと柑橘。ブラジル、コロンビア、中米諸国。『アジア太平洋』——個性派の大陸。厚いボディとアーシーな深み、そしてロブスタの主産地。インドネシア、ベトナム、インド、パプアニューギニア。この三分法は乱暴なようで、豆選びの実用地図として驚くほど機能します。

01 味の三角形で覚える

3ブロックを三角形の頂点に置くと、味の座標系になります。頂点A(アフリカ)=酸と香り。頂点B(中南米)=調和と甘さ。頂点C(アジア)=ボディと深み。たとえば「華やかだけど飲みやすい」はA寄りのB(ケニアやコスタリカ)、「コクがあってバランスも」はC寄りのB(スマトラとブラジルのブレンド)——自分の好みを三角形のどこかに置けると、初めての豆袋の前でも迷いません。ブレンド(kn-045)の設計も、実はこの三角形の中でのバランス取りです。

02 歴史が作った地図

この分布は自然だけでなく歴史の産物です(his-005, his-006)。アフリカは原産地とその隣人たち。中南米は18世紀以降の植民地プランテーションが築いた「新世界」で、いまや世界生産の6割前後。アジアはオランダ東インド会社のジャワ栽培(17世紀)に始まり、20世紀のベトナムのロブスタ革命で生産量の一大勢力に。つまり産地の地図は、大航海時代から現代までの経済史の地層でもあります。各国編では、この歴史の縦糸も一緒に読んでいきます。

03 産地編の歩き方

kn-131〜260の産地編は、次の順で進みます。まず本記事を含む総論5本(アフリカ/中南米/アジア太平洋/島嶼)で大陸ごとの見取り図を作り、その後、生産国別の深掘りへ——各国の歴史・産地区分・等級・品種・味の傾向・買い方の実践までを1国2〜4本で。読み方のおすすめは「今飲んでいる豆の国から」。手元の一杯の背景が分かると、次の一杯への好奇心が芋づる式に伸びていきます。豆DB(bean-)の各銘柄記事が、各国編の実践パートナーです。