1962年に主要生産国・消費国が結んだ国際コーヒー協定(ICA)は、輸出割当(クォータ)によって国際価格を一定の帯に保つ仕組みでした。冷戦下の政治力学にも支えられたこの体制は、1989年、米国の離脱方針や加盟国間の対立で経済条項が失効。価格統制の枠が外れた相場は急落し、1990年代〜2000年代初頭にかけて生産コストを大きく割り込む「コーヒー危機」が産地を襲いました。
危機は皮肉な副産物も生みました。相場では食えない生産者と、品質に対価を払う消費者を直接つなぐ動き——フェアトレード認証の拡大、スペシャルティ市場(his-019)の成長、そしてCOEのような品評会(his-021)の誕生は、いずれも「相場依存からの脱出路」として加速したのです。ICO(国際コーヒー機関)は現在も価格動向の監視と生産国支援を続けていますが、相場変動リスクは今日も構造課題のままです(kn-054)。