オスマン帝国と交易を続けたヴェネツィアの商人たちは、1615年頃までにコーヒーをヨーロッパへ持ち込んだと伝えられます。当初は薬として薬局で売られた黒い飲み物は、やがて広場に開いた店で供されるように。18世紀に開業したカフェ・フローリアンは現存する最古級のカフェとして、今もサンマルコ広場で営業を続けています。
有名な伝説が「教皇クレメンス8世の洗礼」です。側近たちが『イスラムの酒』を禁じるよう進言したところ、教皇は一口飲んで「これほど旨いものを異教徒だけに独占させるのは惜しい」とコーヒーに洗礼を授けた——という逸話。史実性は疑わしいものの、キリスト教世界がコーヒーを受け入れる転換を象徴する物語として語り継がれています。