焙煎中、豆から薄皮(シルバースキン)が剥がれて飛び散ります。これが『チャフ』です。焙煎機では専用の集塵装置で回収されますが、家庭焙煎では周囲に舞い、掃除が必要になります。チャフ自体は無害ですが、焙煎機や粉に残ると焦げ臭・えぐみの原因になることも。エスプレッソの粉に混じる細かい薄皮も、この名残です。プロの焙煎では、焙煎後にチャフをきちんと除去することも品質管理の一部になっています。
01 欠点豆という『味の穴』
より深刻なのが欠点豆(ディフェクト)です。黒豆(発酵しすぎ・過熟)、未熟豆(緑がかった青臭い豆)、虫食い豆、貝殻豆(奇形)、カビ豆、割れ豆など、さまざまな種類があります。たった数粒の欠点豆が、一杯全体に不快な発酵臭・カビ臭・渋みを持ち込みます。特にカビ豆は風味だけでなく品質管理上も避けたいもの。スペシャルティグレードは欠点数の許容が厳しく(SCAの分類では欠点がごく少ないことが条件)、産地でも消費地でも、幾重もの選別で欠点豆を取り除いています。
02 ハンドピックの効果
家庭でも、焙煎前後の豆を目で見て欠点豆を取り除く『ハンドピック』は有効です。特に安価な豆や、欠点混入率の高いロットでは、明らかに変色・変形した豆を数粒抜くだけで、カップのクリーンさが体感できるほど変わります。焙煎前に生豆を選別すると焼きムラも減り、焙煎後にも一度チェックすると万全。手間はかかりますが、『引き算の品質向上』——悪いものを除くだけで味が良くなる、最もコスパの良い一手です。スペシャルティの高価格には、この選別労力への対価が含まれています。