コーヒーの品質は「どれだけ完熟果だけを収穫できたか」で大きく決まります。未熟な緑の実は渋みとえぐみを、熟しすぎた実や地面に落ちた実は発酵臭や欠点風味をもたらします。理想は真っ赤(品種によっては黄色)に熟した実だけを選んで摘むこと。しかし同じ枝でも実の熟し方はバラバラで、一斉には熟しません。だから高品質産地では、同じ木を何度も見回り、完熟した実だけを摘む「セレクティブ・ピッキング(選択収穫)」を、収穫期に数回繰り返します。

01 3つの収穫方法

(1)ハンドピッキング: 完熟果を一粒ずつ手で摘む。最も高品質だが人件費がかかり、急斜面の産地で主流。(2)ストリッピング: 枝を手やレーキでしごき、熟度を問わず一気に落とす。効率的だが未熟果・過熟果が混じるため、後の選別が重要。(3)機械収穫: 大型機械が木を揺らして実を落とす。ブラジルの平坦な大農園で普及し、コスト競争力の源泉。近年は熟度をセンサーで判別する機械も登場しています。方法の選択は、地形・人件費・品質戦略で決まります。

02 収穫後の時間との戦い

摘んだ実は生鮮食品です。収穫後、精製工程に入るまでの時間が長いと、果肉の中で望まない発酵が進み、欠点風味の原因になります。高品質を目指す産地では、その日のうちに実を水に浮かべて未熟果・欠点果を選別(浮くものは軽い=欠点が多い)し、速やかに精製へ回します。手摘み→即日選別→即日精製、という一連の丁寧さが、カップのクリーンさと甘さに直結します。逆に言えば、収穫の質が悪ければ、後工程でどれほど頑張っても取り返せません。