コーヒーは、飲む部分(種子=豆)以外に大量の副産物を生みます。産地では果肉・果皮・パーチメント(内果皮)・シルバースキン、消費地では抽出後のコーヒーかす(粕)。従来これらは廃棄されるか、せいぜい堆肥にされる程度でした。しかし近年、『廃棄物を資源に変える』循環型(サーキュラー)の発想が広がっています。コーヒー一粒、そして一杯を、まるごと使い切る——環境負荷の削減と新たな価値創造を両立させる、コーヒー産業の新しい潮流です。
01 産地での副産物活用
産地では、果肉や果皮を乾燥させたお茶『カスカラ』(kn-035)、小麦粉代替の『コーヒーフラワー』、堆肥、家畜飼料、バイオガスの原料としての活用が進みます。パーチメントは乾燥時の燃料に、シルバースキン(チャフ)は工業原料や燃料に。かつて精製排水として川を汚していた果肉(kn-064)を資源化すれば、汚染対策と収入源が同時に生まれる。副産物の活用は、環境問題の解決策であると同時に、生産者にとっての新しいビジネスチャンスでもあります。一粒を無駄にしない発想が、産地の持続可能性を高めます。
02 消費地でのコーヒーかす再利用
消費地でも、抽出後のコーヒーかすの再利用が広がっています。家庭では、消臭剤(冷蔵庫や靴の脱臭)、肥料・堆肥、掃除の研磨剤としての活用が定番。産業レベルでは、かすを原料にしたバイオ燃料、キノコの培地、建材やプラスチック代替素材、衣料繊維、さらには食品や化粧品の原料まで、多様な用途が開発されています。カフェチェーンが店舗のコーヒーかすを回収し再資源化する取り組みも。一杯を淹れた後の『残りかす』が、次の何かに生まれ変わる——循環の発想は、消費の現場から始められます。