鮮度というと焙煎後の豆を思い浮かべますが、実は生豆にも鮮度があります。収穫年度によって、その年に収穫・精製された新しい豆を『ニュークロップ』、1年ほど経った豆を『パストクロップ』、それ以上古いものを『オールドクロップ』と呼びます。新しい生豆は水分と風味成分が豊かで、鮮やかな酸と香りを持ちます。時間が経つにつれ水分が抜け、風味が枯れ、色も緑から黄・茶へと退色していく。焙煎後の豆が数週間で変わるのに対し、生豆はもっとゆっくりですが、確実に経年変化します。

01 経年変化と『枯れ』

生豆は適切に保管すれば1年程度は良好な品質を保てますが、時間とともに『枯れ』が進みます。枯れた豆(パスト・オールドクロップ)は、鮮やかな酸が失われ、平坦で穀物や木のような風味に。ネガティブとは限らず、あえて寝かせて角の取れた丸みを狙う『エイジング』の文化もありますが、多くの場合、経年は風味の劣化を意味します。特に高温多湿は劣化を早めます。ロースターが生豆の鮮度と収穫年度を気にするのは、それが焙煎後の味の上限を決めるからです。焙煎の腕が良くても、枯れた生豆から新鮮な味は出せません。

02 保管の科学

生豆の品質を保つ鍵は、温度・湿度・光・空気の管理です。理想は涼しく(高温を避け)、湿度を一定に保ち(乾燥しすぎも吸湿もダメ)、直射日光を避けた保管。麻袋のほか、内側に特殊なライナー(グレインプロなど)を入れて水分と酸素を遮断する包装、真空パック、温湿度管理された倉庫など、鮮度を守る技術が進化しています。パーチメント(内果皮)を付けたまま保管し輸出直前に脱殻するのも、豆を保護し鮮度を保つ工夫(kn-039)。生豆の鮮度管理は、産地からロースターまでのリレーで守られています。