カネフォラ種、通称ロブスタは、世界生産の約4割を占めながら『安価な増量材』『インスタントの原料』という扱いが長く続きました。麦茶のような香ばしさと強い苦味・ボディ、アラビカの約2倍のカフェインが特徴で、丁寧に作られてこなかったことが多く、ゴムや土のような雑味が『ロブスタ臭』として敬遠されてきたのです。しかしその評価は、生産と精製の質が低かったことの結果であって、種そのものの限界ではありませんでした。

01 ファインロブスタの登場

2010年代、丁寧に栽培・精製された高品質ロブスタ『ファインロブスタ』が注目を集めます。専用のカッピング評価基準(CQIのRobusta基準)も整備され、完熟果の選択収穫、ウォッシュドやハニー精製、丁寧な乾燥を施したロブスタは、チョコレートやナッツ、ダークフルーツのような複雑さを持つことが分かってきました。インドやウガンダ、ブラジル(コニロン種)などで高品質ロブスタの生産が進み、品評会も開かれています。『ロブスタ=低品質』という等式は、作り手の努力によって崩れつつあります。

02 気候変動時代の主役候補

ファインロブスタが再評価される背景には、気候変動もあります。ロブスタは高温多湿に強く、低地でも育ち、病害虫への耐性も比較的高い。アラビカの栽培適地が縮小すると予測される中、ロブスタは供給を支える現実的な選択肢です。エスプレッソブレンドにボディとクレマを与える伝統的な役割に加え、単体で楽しむ高品質ロブスタの市場も育ちつつある。ユーゲニオイデスやリベリカと並び、『アラビカ一辺倒』の時代からの多様化を象徴する存在です。