焙煎度が同じでも、火の入れ方を誤ると欠点(ディフェクト)が生まれます。焙煎欠点は生豆の欠点(kn-047)とは別物で、焙煎士の技術に起因するもの。良い生豆でも焙煎を誤れば台無しになり、逆に丁寧な焙煎は豆の良さを最大化します。代表的な焙煎欠点を知ると、『なぜこのコーヒーは物足りないのか』『なぜとがった味がするのか』の原因が分かり、豆と店を見る目が養われます。焙煎欠点は、カップの中に必ず痕跡を残します。

01 生焼けと焼きすぎ

『アンダーディベロップ(発達不足)』は、色は焙煎できていても芯まで火が通っていない状態。青草・生の穀物・とがった不快な酸・渋みが出ます。浅煎りが敬遠される原因の多くは、実はこの発達不足です。逆に『ベイクド(焼きなまし)』は、火力が弱く時間をかけすぎて豆の風味を『煮て』しまった状態で、平坦で生気のない、香りの乏しい味に。どちらも温度上昇の管理ミスが原因で、『いつ、どれだけ火を入れるか』の設計(プロファイル)の失敗です。

02 表面の焦げ — ティッピングとスコーチ

火力が強すぎると、豆の表面や端が局所的に焦げます。豆の先端(胚の部分)が黒く焦げるのが『ティッピング』、豆の側面に焦げ跡がつくのが『スコーチ』。いずれも投入温度が高すぎたり、序盤の火力が強すぎたりして、豆の内部が温まる前に表面だけが焼けてしまう現象です。カップには焦げ・炭・煙のような雑味が出て、本来の風味を覆い隠します。深煎りの香ばしさ(意図した焙煎)と、焦げの雑味(欠点)は別物。名店の深煎りに雑味がないのは、強火でも表面を焦がさない温度管理の技術があるからです。