1974年、米国の生豆商エルナ・クヌッセンが業界誌の記事の中で「スペシャルティコーヒー」という言葉を使いました。特別な地理的条件(マイクロクライメット)が特別な風味の豆を生む——という彼女の主張は、大量流通の相場商品(kn-074)としてではなく、産地と品質の個性で豆を評価する新しい枠組みの宣言でした。女性が生豆のカッピングから排除されていた時代に道を切り開いた、先駆者の言葉でもあります。
この概念は1982年の米国スペシャルティコーヒー協会(SCAA、現SCA)設立で制度になり、カッピング基準(kn-062)や品質のピラミッド(kn-009)へ発展していきます。日本でも1987年に全日本グルメコーヒー協会が生まれ、2003年に日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)へ。ひとつの造語が、農園の値付けから消費者の語彙まで、コーヒーの世界地図を書き換えました。