おいしさを語るには、まずい原因を知ることも大切です。コーヒーには、栽培・精製・保管・焙煎の各段階で生まれるネガティブなカップフレーバー(欠点風味)があります。プロのカッピングでは、こうした欠点の有無と程度も評価対象。欠点風味を識別できると、『この豆は何が起きたのか』が分かり、良い豆を選ぶ目が鋭くなります。ここでは代表的な欠点風味を、原因とともに整理します。どれも『個性』ではなく『問題』であり、良質なコーヒーには現れないものです。
01 発酵系・カビ系の欠点
最も多いのが発酵と保管に由来する欠点です。【過発酵(オーバーファーメンテーション)】は精製時の発酵管理ミスで、腐った果実・酢・タマネギのような不快な酸味が出ます。【フェノール】は薬品・消毒液のような風味で、特定の微生物汚染や品質管理の問題で生じ、一杯を台無しにします。【カビ臭(モールディ)】はカビの生えた豆による土・埃・カビのような風味で、健康面でも避けたいもの。【発酵臭(ファーメンテッド)】は良い意味の発酵風味とは異なり、明確に不快な発酵の匂いを指します。
02 保管・輸送・焙煎由来の欠点
保管と輸送でも欠点は生まれます。【リオ臭(リオイ)】はヨードやフェノールに似た独特の臭みで、特定産地・条件の豆に出ることがあります。【ベイギー(麻袋臭)】は古い麻袋や不適切な保管による、麻袋のような枯れた匂い。【パスト(枯れ豆)】は生豆が古くなって風味が抜け、平坦で生気のない味に。焙煎由来では、前述のティッピングやスコーチによる焦げ・炭の雑味、発達不足による青臭さがあります。これらは単独でも、複数が絡んでも現れ、カップのクリーンさを損ないます。